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「都会風を吹かす」を恐れず、自分の信念を大切にしよう

移住者の地域軋轢に「都会風を吹かす」があります。それは何でしょう。そこから見える地方の権威主義と前例主義が新たな問題解決に対応できないことをこの記事では指摘しています。地域の特性を知れば無用な軋轢を防ぐだけでなく信念を持って謙虚に対応すれば味方なってもらえるでしょう。
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移住を考えているあなたへ

移住をお考えの方は移住前には現地の実情を知りたいですよね。私自身、生まれも育ちも福井の出身で、大学卒業後の30年間を関東で過ごしました。その結果、都会の生活スタイルや考え方が自然と身についてしまいました。そして、福井に戻ってきてから、時々、地元の人々の反応に違和感を感じることがあります。そんな時、地元の人々がなぜそのように反応するのかを理解するモデルがあると、心が楽になるかもしれません。それだけでなく、その反応の背後にある考え方を理解すると、新たな視点から物事を見ることができるかもしれません。

どなたかの参考になれば幸いです。

この記事の目的

福井県の池田町が発表した「七か条」には、移住者に対するアドバイスが書かれています。その中に、

第4条 今までの自己価値観を押し付けないこと。また都会暮らしを地域に押し付けないよう心掛けてください。

  • 集落での生活は、ご近所などとの密な暮らしの日々があります。都市で は見られなかったルールや仕組みもありますが、皆で折り合いを付け ながら培ってきたものです。

  • これまでの都市暮らしと違うからといって都会風を吹かさないよう心 掛けてください。

があります。この都会風を吹かすとは一体何なのでしょうか。

池田町の「七か条」は、地域生活の具体的な事例を取り上げています。例えば、近所付き合いやゴミ出しのルールなど、地域社会での生活について言及しています。しかし、福井で生活していると、人々の反応に何となく違和感を覚えることがあります。そして福井に戻ってきてから2年が経ちますが、自分が「都会風を吹かしている」のかもしれないと気づく瞬間があります。これは良いか悪いかという話ではなく、生活スタイルや考え方に違いがあるということです。地元の人々は、「また都会風を吹かしているな」と思っているのかもしれません。

私の経験はあくまで一例で、全ての人に当てはまるわけではありませんが、いくつかの事例を紹介し、どのように対応すれば良いかを考えてみました。

都会風を吹かすとは何か?

「都会風を吹かす」は、都会の雰囲気やスタイルを貫く、あるいは伝統や因襲を壊し都会的な影響や変化をもたらすと言うような意味でしょうか。「欧米ではこうだけど日本はこうだ。だから日本はダメなんだ」みたいな欧米を理想とする考え方から日本を否定するような意味合いも含まれているかもしれません。

私自身、ゴミ出しや地域のイベントについては特に問題を感じたことはありませんが、専門家に相談したり依頼したりするときに、都会風を吹かすとはこう言うことかと感じることがあります。例えば、医師に相談するときや証券口座を開設するとき、行政に要望を出すときなどでした。

専門家と対等に話をし、分からないことを聞くというスタンスを取ると、相手は困った顔をすることがあります。また、「うるさいことを言って」という意味を込めたボディーランゲージを見せることもあります。なぜ彼らは苛立っているのでしょうか。

私の仮説では、対等な関係にあること自体が「都会風を吹かす」と取られると感じます。これまでのやり方が正しい、専門家が言っているから間違いない、という考え方が根底にあるのかもしれません。地域の反応を理解するためのモデルとして、「家父長制度に基づく権威主義」の文化が影響していると考えると、その対応も理解できるように思います。

事例1)歯科医院での治療方針の説明を求める

私がインプラントの治療を受けた時の話です。治療を受ける前に、医師と相談しながら治療方針を決めたいと思っていました。なぜなら、高額な自費治療であり、痛みを我慢するのも私自身だからです。そのため、CT画像を見ながら、私に合った治療方針や他の治療方法とのメリット・デメリット、判断の基準を説明してもらうことを期待していました。しかし、実際には簡単な説明だけで、「では次回インプラントの手術を行いますね」となり、思っていたような詳しい説明はありませんでした。

その後、自宅に帰ってから、改めて治療方針の説明を受けたいと医院に電話で伝えると、医師から「治療方針とは何を説明すればいいのか」という問い合わせがありました。その結果、治療方針の説明を求める患者がほとんどいないことがわかりました。問い合わせの結果、私の要望に応えてくれてきちんと私にあった治療方針の説明を受けることができ、治療を受けることができました。

なぜ説明のお願いをしないのか、医師は説明の依頼になぜ戸惑ったのかを考えてみました。もちろん治療方針の説明に慣れていないということも考えられますが、根っこは多分そうではないと思います。

専門性=権威=患者は医者とスタッフの言うことに従え

と言う考え方が病院側にも患者側にもあると思いました。都会の病院は数も多くサービスを競って患者主体なところが多いのですが、地方は地域医療を担っているので病院側がそれに気づきづらい構造がるのかもしれません。

事例2)証券会社の口座開設

私は個人事業主で、証券会社で口座開設が必要になりました。申し込みを郵送したところ、勤務先の記入がないと言われ、自宅に来てもらいました。しかし、自営業者が証券口座開設のために勤務先(屋号)を書く必要があるのか疑問に思い、訪問時にそのことを問いました。

担当の方は「これまで書いてもらっています」の説明と「インサイダーなどの懸念があります」を言うばかりで納得できるものではありませんでした。本社に問い合わせてもらうと「反社会的勢力の照合に屋号を使う」との回答がありました。それならばと屋号を記入しました。自営業の屋号で株が買えないのになぜ大株主になってインサーダー取引を懸念するのかの質問では最終的には関係ないことが確認できました。

ここで感じたのは、今までこうしてきたのだからという前例主義と、書きなさいと言う権威主義と、疑問を呈さない従順な利用者という構図でした。ご担当の方が悪いわけではなく、そう言った環境で仕事をしてきたと言うことなのだろうと思いました。

事例3)行政への苦情

散歩中に見かけるのですが、近所の川に白濁した工場排水が流れ込んでいることがあります。これは伝統工芸の町工場から出ているもので、景観を損ねるだけでなく、環境衛生上も問題がある可能性があります。そこで、県や市に問い合わせました。

結果としては、環境基準値以下であれば、排水に色がついているだけで規制する法律はないという回答でした。この検査自体も、排水が止まって時間が経ち希釈された状態での測定だったので、その方法にも疑問を持っていますがそれはまた別の話なので別の記事にします。

行政の対応については、「これまで何十年も排水を流してきて、苦情がほとんどないから、適当に対応しておけばいい」という感じがしました。なぜ下水に工場排水を受け入れないのかと2度目の質問をしましたが、1ヶ月以上経ってもまだ回答はありません。都会では生物多様性など、行政も真剣に環境問題に取り組んでいますが、地方ではまだ「うるさいことを言うな」というスタンスを感じます。

何が問題か

家族制度に立脚した権威主義の風土が地域に根ざしていると考えると、人々の反応が理解しやすくなります。しかし、これが問題になるのは、新しい問題が起きたときです。その解決方法が「弱者(新参者)は我慢しろ」という権威主義では、現代の多様な問題に対応できないでしょう。池田の七か条に足りないのは、「問題が起こった時にどう解決するのか」の視点です。

例えば是枝監督の「怪物」ではないですが、移り住んだら子供が虐められたり、自分がマイノリティや弱者になったとき、地域の多くの人が都会風の対等に話をすることを快く思わず、家長制度&権威主義で前例踏襲なら地域は解決できず移住者は困ってしまうでしょう。個々人の事情に配慮したサポートや解決は骨の折れることでしょうが、個々の多様性や事情を許容し解決できる力が地域にあるのかが重要なのです。

ではどう対応する?

実際は地域の多くの人が権威主義でも前例主義でもないと思いますが、もしそう対応をされたらどうしたら良いでしょうか。心が苛つかないように相手や地域がどう反応するのかの特性を理解することが大切です。そして経験では「金持ちの対応」をするのが良いと思います。

その質問をなぜするのか、私にとってなぜ大切なのかを、どうしたいのかを、丁寧に謙虚にでも信念を持って話をすれば、意見ももらえるし、最後は味方になってもらえます。自分の信念が地域と繋がっているとわかれば一緒に考えてくれるはずです。そう信じて粘り強く時間をかけて味方を多くして信念を通したら良いと思います。

良いじゃん、面倒臭い奴と思われても、福井が好きなんだから。

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created: 2023-06-30 11:25:37
modified: 2023-08-23 17:24:33
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