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論文紹介:夜間の鳥類渡りの活動推定手法の評価:アメリカ西部におけるレーダーと夜間飛行音モニタリングの比較(Osterhaus2024)

北米西部での夜間の鳥の渡り量をレーダとNFC録音で比較した論文です。2シーズンの秋の観察結果から渡り鳥数はレーダーとNFCで正に相関しましたが、一晩ごとで比較すると必ずしも一致していないようです。録音エリアとレーダーエリアは約100km北南に離れており、それぞれ検知できる飛行の高さも異なっている。影響パラメータは雲の量、風速、飛行高度、月明かり、時間帯をあげていますが、気象条件・地形・時間帯で渡り鳥は飛ぶ位置・高さを変えるのでしょうから、レーダーとNFC録音は補完的な計測関係にある様に思えました。
RADAR vs NFC(生成AIによる)

以下、各章を生成AI翻訳させたものです。

概要:

この論文は、鳥の夜間移動を研究するための方法論を改善することを目的とし、特に西アメリカのあまり研究されていない地域を対象としました。2021年と2022年の秋の渡りの間、ニューメキシコ州南部(ホワイトサンズ・ミサイル実験場)で気象レーダーと50・55地点の夜間飛行音声モニタリングという2つの方法を評価しました。その結果、以下のことが明らかになりました。

  • 季節を通じて2つの方法で得られる移動活動の推定値は正の相関を示したが、夜ごとに変動が見られた。
  • 両方法の関連性は場所によって異なり、特に音声データの収集に地域特有の要因が影響する可能性がある。
  • 音声推定値の変動には、雲量、横風、日付、渡り鳥の高さ、速度、月光、追い風、時間帯が関与していた。
  • レーダー推定値の変動には、横風、日付、渡り鳥の高さ、速度、追い風、時間帯が関係していた。

東アメリカでの先行研究結果と一致し、地域差があっても2つの方法の推定値は相関していることが確認されました。この研究は、2つの方法による推定値の変動に影響を与える要因に関する新たな知見を提供し、渡り行動の理解を深めました。

イントロダクション

  • 鳥類の渡りの規模と課題
    • 鳥類の渡りは季節的に数十億羽が移動する複雑な現象。
    • 北アメリカでは約80%の渡り鳥が夜間に移動するため観察が難しい。
  • 夜間渡りの観察手法
    • 昼間の観察手法(ポイントカウントなど)は夜間には適用できない。
    • 代わりに音響記録装置や気象レーダーを活用して渡りを監視。
  • 夜間飛行音(ノクターナルフライトコール)の特徴と利点
    • 夜間の渡り中、多くの種が種特有の短い音声(50~300ミリ秒、1~9kHz)を発する。
    • 音声は種ごとに識別可能で、気象レーダーより高い分類学的解像度を持つ。
  • 技術の進歩
    • 19世紀後半から飛行音の検出とカウントが行われてきた。
    • 最近では、マイクロフォンや自動記録技術の進歩により、広範囲かつ長期間の記録が可能になった。
  • 課題と限界
    • 音響記録装置の検出範囲は200~800m程度と制限があり、多くの鳥が移動する高度を下回る。
    • 大気条件や周囲の環境が音の減衰や遮断を引き起こす可能性。
    • 種ごとの飛行音行動の違いや、天候、人工光などの影響が推定に偏りをもたらす。
  • 研究の必要性
    • これらの偏りの性質や影響範囲は十分に理解されていないが、音声データは渡りのタイミングや強度に関する有益な情報を含んでいる。
  • 気象レーダーの利用
    • 鳥類学者は75年以上にわたり、気象レーダーを夜間渡りの研究に利用。
    • アメリカではNEXRADと呼ばれる143台のSバンドドップラー気象レーダーが運用されている。
  • NEXRADの利点と進歩
    • 主な目的は天候観測だが、飛行中の生物に関するデータも取得可能。
    • レーダー技術やデータ処理の進歩により、エアロエコロジー研究が急速に発展。
    • 小規模から大規模、短期間から長期間の渡り研究に活用されている。
  • 気象レーダーの課題
    • 測定対象は渡り鳥全体の生物量であり、種の識別は不可能。
    • レーダーの最低測定角度が0.5度で、地上50–100m以下を移動する鳥を捉えられない場合がある。
    • 降水や他の非鳥類生物(コウモリや昆虫)の影響でデータが汚染される可能性があるが、これを除去する手法も存在。
  • 東アメリカでの先行研究
    • 音響モニタリングとレーダーを用いた渡り活動の推定値を比較し、それぞれのデータの制限やバイアスの影響を調査。
    • 渡りの飛行高度が音声カウントに負の影響を与えること、音声カウントが夜間を通じて増加することを発見。
    • 雲量増加で音声カウントが増えるとの結果(Farnsworth, 2005)や、逆にその関連がないとした研究(Horton et al., 2015a)も存在。
    • 気象条件や季節のタイミングを考慮すると、レーダーと音声カウントによる推定値が強く一致することを確認。
    • 推定値の関係性は研究間で大きく変動し、夜間や夜間ごとにも時間的な変動が大きい。
    • これらの研究はすべて北米東部で行われ、西部の異なる渡りコミュニティや気象条件での適用性は不明。
  • 研究の目的
    • アメリカ西部(ニューメキシコ州南部)で音響記録と気象レーダーを用いて渡り活動の推定値を比較。
    • 測定値に影響を与える要因と方法間の関係性の変動要因を明らかにすることを目指す。
    • 具体的な目標:
      1. 各方法での渡り活動の推定値の変動要因を特定。
      2. 2つの方法から得られる推定値の関係を調査。
      3. これらの関係における変動の要因を明らかに。
  • 調査手法
    • ニューメキシコ州で2回の秋の渡りシーズンを対象に、音響記録ネットワークとNEXRADサイトを使用。
    • 音響記録によるコールレートとレーダー反射率の推定値を比較。
    • 気候条件(雲量、風向など)や渡り活動の特性(飛行速度、高度など)を考慮してモデル化。
  • 予測
    • 音声カウント:
      • 渡り鳥数、雲量の増加、飛行高度の低下、夜間の時間経過で増加。
    • レーダー推定値:
      • 日没直後に最高値、追い風や雲量減少などの渡りに好条件な夜に増加。
    • 両方法の推定値の関係:
      • 夜ごとに大きく変動。
      • 飛行高度が低い夜に強い相関を予測(音響センサーが多くの渡り鳥を検出可能)。

方法

調査エリア

  • 場所: アメリカ・ニューメキシコ州南部のトゥラローサ盆地(チワワ砂漠内)。
  • 特徴: 渡り鳥の密度が東アメリカに比べて低く、異なる種構成が特徴。

音響データの収集と分析

  • 録音装置
    • 使用機器: Wildlife Acoustics Song Meter Micro。
    • 設定: 44,100 Hzサンプリング、12 dBゲイン、16-bit .wav形式。
    • 設置: 高さ約1.5 mの金属ポールに設置、植生の干渉を最小化。
  • 調査範囲と期間
    • 調査エリア: ニューメキシコ州ホワイトサンズミサイル実験場、約550 km²。
    • 記録地点: 2021年に50地点、2022年に55地点。
    • 記録期間: 9月1日~11月1日(秋の渡り)。
    • 時間帯: 日没後1.5時間~日の出前1.5時間。
    • 録音時間: 合計55,593時間(2021年25,726時間、2022年29,867時間)。
  • 録音データの解析
    • 使用ソフト: Nighthawk(GitHub公開、https://github.com/bmvandoren/Nighthawk/)。
    • モデル性能: 検出率69%、誤検出率3.5%。
    • 調整: 約700時間のデータでモデルを微調整(2021年500時間、2022年200時間)。
    • 検出基準: 確率値>0.5の検出結果を保持。スズメ目(Passeriformes)のコール(2021年98%、2022年97%)のみを対象。
  • モデル精度検証
    • 手動注釈と比較: 100件の15分間録音セグメントで検証。
    • 結果: 高い相関性(r = 0.92)、正確なコール率の指標と確認。
  • 時間分割と解析
    • 夜間を10分割(デシル)に分け、それぞれの時間帯ごとの平均コール率を算出。
    • 分割の目的: 渡り中でない地上の鳥の声を記録から排除。
    • 各デシルの長さ: 0.84~1.03時間(夜の長さに応じて変動)。

気象レーダーデータの収集(Weather Radar Data Collection)

  • データソース
    • NEXRADシステムの未加工(Level II)データを使用。
    • KHDXレーダーサイト(ニューメキシコ州トゥラローサ盆地)からデータ取得。
  • 調査エリアと範囲
    • レーダーサイトから音響記録サイトまでの距離は75km。
    • レーダーのサンプリング範囲は5~37.5km。
    • 音響記録エリアとレーダーエリアは直接重ならないが、渡り鳥の北-南方向の飛行経路に沿って近接。
  • 期間と時間帯
    • 調査期間: 2021年と2022年の9月1日~11月1日。
    • 時間帯: 日没後1.5時間~日の出前1.5時間。
  • レーダーデータの処理
    • bioRadパッケージを使用して反射率の縦断プロファイルを作成。
    • 対象高度: 地上100~3,000m、100m間隔。
    • 最低角度スキャン(0.5°)のビーム高さ:
      • 5kmで45m、37.5kmで410m。
    • 降水や非生物データ(例: 昆虫)を除去。
      • 相関係数>0.95、または反射率>35を除外。
      • 渡り方向(90°~270°)に反するデータを除外。
  • 抽出した指標
    • 反射率: 垂直方向に統合した値(cm²/km²)。
    • 飛行高度: 反射率で加重平均した海抜高度(m)。
    • 地表面速度: 移動方向と速度(m/sと角度)。
    • 夜間のデシルごとに平均値を算出し、音響データと比較。

Covariate Data Collection

  • 収集した共変量
    • 気象要因:
      • 雲量: ホロマン空軍基地気象観測所(録音地点から52km)のデータを使用。
        • スケール: 1(晴天)~5(完全な曇り)。
        • 各夜のデシルごとに平均化。
      • 月明かり: 録音地点中心の月の照度データをRのsuncalcパッケージで収集。
      • 風速と風向: 高さ10m地点で収集されたデータを使用。
        • 録音地点から14kmの位置で観測。
      • 追い風(tailwind):
        • 計算式: vw * cos((θw + 180°) – θb)
        • 期待される飛行方向に沿った風速成分。
      • 横風(crosswind):
        • 計算式: abs(vw * cos((θw + 90°) – θb))
        • 飛行方向に垂直な風速成分。
    • 時間要因:
      • デシル(decile): 夜間を10分割した時間帯。
      • 夜(night): 日没から翌日の夜明けまでを表す。
      • 年(year): データ収集年(2021年または2022年)。

統計解析

1. レーダーと音響推定値の関係性の解析

  • 解析内容:
    1. 夜間全体の比較: 各夜の推定値を比較。
    2. 夜間内の比較: 同じ夜の推定値の変動を解析。
    3. デシルごとの比較: 夜間の10分割(デシル)ごとの推定値を分析。
  • モデル設定:
    • 線形混合モデルを使用。
    • サイトをランダム効果として設定。
    • ベイズ階層モデルで反射率(応答変数)とコール率(説明変数)の関係を解析。
    • 距離の影響を評価するため、レーダーデータを2デシル(約2時間)遅延させた解析も実施。
  • 前処理:
    • レーダーデータを平方根変換し、変数を平均0、分散1に標準化。
    • デシルデータの20%以上が欠損しているサイトを除外(2021年: 4サイト、2022年: 3サイト)。
    • 残りの欠損値を中央値で補完。
    • データ数:
      • 2021年: 23,000ユニークなサイト-夜-デシルの組み合わせ。
      • 2022年: 28,600組み合わせ。
  • ベイズモデリング:
    • rjagsパッケージで実施。
    • 平均推定値と85%信頼区間を報告。

2. 移動活動推定値と関係性変動要因の解析

  • 目的:
    • 推定値の変動要因を特定。
    • 夜間飛行音と気象レーダーによる推定値の関係性に影響を与える要因を調査。
  • モデル構築:
    • 線形混合モデルを使用。
    • 応答変数:
      • コール率(対数変換)。
      • 平均反射率(平方根変換)。
    • 説明変数:
      • 雲量、月明かり、追い風、横風、飛行高度、移動速度、デシル、夜、年。
    • ランダム効果:
      • コール率モデルではサイト。
      • 反射率モデルでは夜。
  • モデル比較:
    • 各説明変数を単独で使用したモデル、全変数を含むモデル、空モデルなどを比較。
    • AICcでモデルの適合度を評価。

使用ツール

  • Rパッケージ:
    • lme4で混合モデルを構築。
    • AICcを計算し最適モデルを選択。
  • データ処理環境:
    • ニューメキシコ州立大学高性能計算グループのリソースを利用。

この解析により、移動活動推定値の変動要因や方法間の関係性に影響を与える要因を特定しました。

  • 比較対象: 音響データとレーダーデータの関係性を3つのレベルで評価。
    1. 夜間全体
    2. 夜間内の変動
    3. デシルごとの変動
  • モデリング:
    • 線形混合モデル(ベイズ階層モデリング)を用いて解析。
    • 各データの変動要因や方法間の相関性をモデル化。

Results

録音およびレーダーデータの概要

  • 録音データ:
    • 2021年: 25,726時間、673,520回の飛行音を検出(平均26.19回/時)。
    • 2022年: 29,867時間、1,289,177回の飛行音を検出(平均43.16回/時)。
  • レーダーデータ:
    • 2021年: 5,548回のスキャン(平均反射率: 257.37 cm²/km²)。
    • 2022年: 6,227回のスキャン(平均反射率: 254.66 cm²/km²)。
  • 活動パターン:
    • 移動活動は9月に最も高く、以降減少。
    • 音響モニタリングでは夜間を通じて活動が増加、レーダーでは減少。

レーダーと音響推定値の関係

  • 夜間全体の比較:
    • 両方法間に正の関係:
      • 2021年: 回帰係数0.34(85% CI: 0.28–0.40)。
      • 2022年: 回帰係数0.42(85% CI: 0.39–0.45)。
  • デシルごとの比較:
    • 関係はやや弱い:
      • 2021年: 回帰係数0.19(85% CI: 0.16–0.22)。
      • 2022年: 回帰係数0.28(85% CI: 0.26–0.31)。
  • 夜間内の比較:
    • 一貫した関係は見られず。
  • 遅延データ(2デシル分)での解析:
    • デシルレベルと夜間全体の比較で関係が強化。

コール率の変動要因

  • 減少要因:
    • 雲量、横風、移動高度、シーズン後半。
  • 増加要因:
    • 月明かり、追い風、移動速度、夜間の進行。

反射率の変動要因

  • 減少要因:
    • 追い風、高度、デシル、シーズン後半。
  • 増加要因:
    • 移動速度、横風。

レーダーと音響推定値の関係変動要因

  • 関係を弱める要因:
    • コール率、雲量、月明かり、移動速度の増加。
  • 関係を強める要因:
    • 反射率、追い風の増加。
  • 重要な相互作用:
    • コール率の増加と反射率の減少により関係が負に傾く。
  • 年度比較:
    • 2022年の方が関係性が強い。

Discussion

  • 夜間飛行音と気象レーダーデータの活用
    • 両方法は夜間渡り活動を推定するために広く利用されている。
    • 推定値の変動要因を理解することが、これらの方法を効果的に使用する上で重要。
  • 本研究の主要な発見
    • 全体的な傾向:
      • 渡りシーズン全体で、両方法の推定値には概ね正の関係が見られた。
      • 両方法は長期的な時間スケールで正確な推定を提供する。
    • 夜間ごとの変動:
      • 夜ごとに推定値の関係性は大きく変動。
      • 渡り鳥の数以外の要因が推定値に影響している可能性。
    • デシル間の変動:
      • 2022年では、夜明けに近いデシルで強い関係性が見られた。
  • 先行研究との一致
    • 東アメリカでの研究結果(Farnsworth et al., 2004; Gagnon et al., 2010; Horton et al., 2015a)と一致。
    • 両方法の推定値は概ね正の相関を示すが、変動性が高い。

音響の渡り推定の要因(Factors Impacting Migration Estimates via Acoustics)

  • 夜ごとの変動

    • 音響記録に基づく推定値は夜ごとに大きく変動。
    • 渡り鳥の夜間移動のばらつきを反映。
  • 夜間内の変動

    • コール率は夜を通じて増加し、夜明け直前に最大に達する傾向。
    • 2021年のコール率は2022年より低いが、反射率は同程度であり、他の要因が影響している可能性。
  • 渡り鳥の飛行高度

    • 高度が上がると音響記録の推定値は減少。
    • レコーダーの低高度サンプリング範囲が一因で、特定の気象条件下(例: 低い雲、増加する雲量)で渡り鳥が地上に近づく可能性。
  • 雲量の影響

    • 雲量増加によりコール率が減少。
    • 高い雲量の夜が稀なため、検出された負の関係は慎重に解釈する必要がある。
  • 月明かりの影響

    • 月明かりが増えるとコール率が上昇。
    • 行動の変化による可能性があり、飛行高度が下がることで記録装置に近づく可能性。
  • 横風と追い風の影響

    • 横風が強いとコール率は減少。
    • 追い風が強いとコール率が増加。
  • 渡り速度

    • 平均移動速度が増加するとコール率も増加。
    • 短時間で多くの鳥が記録地点を通過するため。
  • 種特異的な影響

    • 気象変数とコール率の関係は種ごとに異なる可能性。
    • 種特異的な研究や三次元マイクロフォンアレイの利用がさらなる理解を促進。

レーダーデータによる渡り推定値に影響を与える要因

  • 夜間の変動
    • 渡り活動の推定値は、夜ごとに大きく変動。
    • シーズンを通じて、日没後2~3時間が最も活動が活発。
  • 移動速度の影響
    • 移動速度が増加すると渡り活動の推定値も増加。
    • 追い風は渡り活動の増加に貢献するが、弱い負の関連も観察。
  • 飛行高度の影響
    • 飛行高度が増加すると推定値は減少。
    • 地表付近の乱流や悪天候が原因で渡り活動が減少する可能性。

レーダーと音響データの関係に影響を与える要因

  • 先行研究との一致
    • 両方法の推定値の関係は、東アメリカでの先行研究と一致。
    • 推定値の関係は夜間全体では強いが、デシルレベルでは弱い。
  • 地形や地理の影響
    • 局地的な地形や反射性の違いが、音響記録データに偏りを生じさせる可能性。
  • 夜間内の変動
    • 渡り活動は夜の早い時間帯にピーク。
    • 夜明けに近づくにつれ、鳥が地表に近づき、コール率が増加。

推定値の変動を引き起こすその他の要因

  • 雲量と月明かり
    • 雲量と月明かりの増加は、音響とレーダーデータの相関を弱める。
    • 月明かりは鳥の飛行高度を低下させ、音響記録に影響を与える可能性。
  • 種の行動の違い
    • 種ごとの飛行やコール行動の違いが未解明。
    • 渡り鳥の種構成が夜ごとに異なるため、推定値の変動に影響。 ### 提言と今後の課題
  • データの補完的活用
    • 音響とレーダーの両方法を併用することで、異なるバイアスを補正可能。
  • さらなる研究の必要性
    • 種ごとの行動特性や飛行高度の解析が重要。
    • 音響データとレーダーデータの関連性を強化するため、環境変数の影響を詳細に解析。

レーダーデータ遅延解析 (Analyses Using Lagged Radar Data)

  • 調査範囲の非重複性
    • レーダーと音響のサンプリングエリアは直接的に重ならない。
    • 両方法の渡り活動推定値には夜間全体で概ね正の相関が確認された。
  • 遅延データの効果
    • レーダーデータを2デシル(約2時間)遅延させると、方法間の関係が強化。
    • 音響記録装置が渡り強度の細かな変動を捉えた可能性を示唆。
  • 将来の研究課題
    • サンプリングエリアがさらに離れた場合の相関性の検討が必要。
    • 局地的な地形や渡り経路が相関性に与える影響の解析。

結論と今後の方向性 (Conclusions and Future Directions)

  • 渡り活動の変動要因の理解
    • レーダーと音響データの推定値の変動要因を詳細に理解する必要。
    • 個体レベルの渡り行動研究が重要。
  • 研究の進展に必要な技術
    • 推奨される手法:
      • 音響記録機器、測高計、加速度計を搭載した装置の利用。
      • 三次元マイクロフォンアレイの活用。
    • 目的:
      • 種ごとの行動特性や推定値への影響を解析。
      • 適切なデータタイプを選択する基盤を構築。
  • 局所的予測の課題
    • レーダーのサンプリング範囲外への推定値の外挿が困難。
    • 音響データとレーダーデータの関係を明確にすることで、外挿モデルの性能評価が可能に。

謝辞 (Acknowledgements)

  • 音響データ収集に協力したMatthew Allen、Kelley Boland、Thomas Huycke、Domonic Jimenez、Fatima Quirozに感謝。
  • 気象データを提供したWhite Sands Missile Range Meteorology Branchに感謝。
  • 統計解析の指導を行ったAbby LawsonとAaron Youngに感謝。
  • 研究への支援、トゥラローサ盆地における渡り鳥の洞察、研究エリアへのアクセスを調整したPatricia Cutlerに感謝。

資金提供 (Funding Statement)

  • White Sands Missile Range
  • ニューメキシコ州立大学のAvian Migration Program(USDA National Institute of Food and Agriculture Award 2022-77040-37638)
  • T&E Inc.
  • New Mexico Ornithological Society

倫理声明 (Ethics Statement)

  • 動物の捕獲や扱いを含まず、鳥の行動に影響を与えない方法で実施。

利益相反声明 (Conflict of Interest Statement)

  • 著者間に利益相反はなし。

著者の貢献 (Author Contributions)

  • 研究計画: D.M.O., T.F.W., M.J.D.
  • 資金調達: M.J.D., T.F.W.
  • データ収集: D.M.O.(レーダー・音響データ)。
  • データ処理: B.M.V.D.(音響データ)、K.G.H.(レーダーデータ)。
  • 統計解析支援: F.A.
  • 原稿作成: D.M.O.が初稿を作成、全著者が修正・編集。

データ利用可能性 (Data Availability)

  • 本論文で報告された解析は、Osterhaus et al. (2024) による提供データおよびコードで再現可能。

各図の日本語タイトル

  • 図1 調査地域の地図:2021–2022年、ニューメキシコ州南部におけるレーダーおよび音響記録のサンプリング地点
  • 図2 2021年および2022年秋の夜間渡り活動推定値: (A–B) 夜間飛行音モニタリング、(C–D) 気象レーダーによる推定値
  • 図3 夜間を10分割したデシルごとの渡り活動推定値: (A–B) 夜間飛行音モニタリング、(C–D) 気象レーダーによる推定値
  • 図4 夜間全体での渡り活動推定値の関係:
    1. 2021年、(B) 2022年、(C) 遅延データを使用した2021年、(D) 遅延データを使用した2022年
  • 図5 夜間ごとにデシル単位で測定した渡り活動推定値の関係:
    1. 2021年、(B) 2022年、(C) 遅延データを使用した2021年、(D) 遅延データを使用した2022年
  • 図6 夜間内でサイト間の渡り活動推定値の関係:
    1. 2021年、(B) 2022年、(C) 遅延データを使用した2021年、(D) 遅延データを使用した2022年
  • 図7 デシル単位での渡り活動推定値の時間遅延と非遅延の比較:
    1. 2021年、(B) 2022年
  • 図8 渡り活動率とその関係に影響を与える要因の効果量プロット:
    1. 音響記録による渡り活動率、(B) 気象レーダーによる渡り活動率、(C) 両方法間の推定値の関係性に影響する要因
Fig1

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created: 2024-12-03 08:01:04
modified: 2025-02-07 18:22:01
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