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7月後半のノジコ達はまた上流と下流で囀り方が異なった

梅雨明け直近の曇りの日、7月後半はまたもや上流のノジコ達は囀りませんでした。先週ホオジロとバトルしたノジコも全く鳴きませんでした。他方、下流のノジコは相変わらずよく囀っています。Mr.Handさんがおっしゃるように標高と積雪が影響しているのでしょうか。この時期のノジコの囀り頻度は謎です。
タケニグサの花序についた水滴は森をうつしていました

観察日:2023−07−20 6:00~11:00

場所:谷間の廃村に流れる小川沿いの道と脇

天気:曇りのち晴れ、風なし

観察者:Mr. Hand, Dr. Show & me


今日の調査目的

  • ノジコの個体毎の鳴き声の差を調べたいので鳴き声をできるだけ多く採取すること。
  • ノジコの行動を調査すること。

方法

  • 今日は中流の小さな駐車場から(αU35)から下流の採石場(N-10)まで下がり、そこから折り返して県境(βAE57)まで上流を録音しながら歩きました。
  • 用いた機材は先週までと同じで下記の通り:
    • 録音機:H6(zoom)
    • マイク:Rode NT4(ステレオマイク)
    • 集音器:Sony PRB-400 (三脚あり)
    • フォーマット:WAV、44.1kHz, 16bitステレオ
  • 基本的にパラボラマイクは固定して録音しましたが、音の中心にマイクがない場合はパンとチルトをしています。
  • 地図は(論文発表まで)非公開

結論

  • 6:00 ~ 7:30 下流のノジコは結構長く鳴いていました。
  • 上流は全く囀っていませんでした。Dr.Shou, Mr.Handの今日の観察記録によると同様に上流は囀っても2、3回で歌い終わってしまったようです。
  • 上流が鳴いていないのは6月の最終週と同じ状況です。地鳴きはするものの三人とも幼鳥や餌運びも見つかりませんでした。幼鳥も騒がないのかもしれません。スズメやムクドリ、ツバメは結構巣の中で騒いでいるのですが、彼らとは違うのかもしれません。地上に近いところに巣を作っているので被食を避ける行動なのかもしれません。

観察結果

  • 6:00 観察開始。下流ではしっかり囀るノジコが観察され、録音する。
  • 7:30 折り返して上流に向かう。
  • 7:45 ノジコ4(αAA4)は電線に止まっていて囀っていたのですが、別の一羽が真上1mの所を飛んできてノジコ4と同じ方向に飛んで行きました(録音なし)。
  • 8:30 中間地点(αT35)に到達し、上流に進む。
  • 9:46 県を超えダム湖が見えるところまで上がったがここまでにノジコの地鳴きを数回聞くだけ。
  • 時間ごとの録音状況を記します。
# date start end 番号 場所
1 230720 060517 060740 ノジコ 1 αX14
2 230720 060908 061101 ノジコ 1 αX14
3 230720 062124 063425 ノジコ 2 αD4
4 230720 065709 065720 NG - -
5 230720 065843 070938 ノジコ 3 αO-10
6 230720 071149 071718 ノジコ 3 αN-10
7 230720 071833 072133 ノジコ 3 αM-10
8 230720 074640 074949 ノジコ 4 αAD4
9 230720 074951 075031 ノジコ 5 αZ14
10 230720 075033 075704 ノジコ 6 αAB6
11 230720 075840 075922 ノジコ 6 αAB6
12 230720 080643 081321 ノジコ 7 αAA16
13 230720 092147 092326 ノジコ 9 βY30
14 230720 092751 093005 オオルリ 1 βY30
15 230720 103038 103259 オオヨシキリ 1 αAA35

ノジコの囀り場所

# 鳴き声 目撃(囀り場所) 場所 備考
1 6:05 ノジコ1 S 杉(高さ35m)の天辺 αX14 足輪無いように見えた
2 6:09 ノジコ1 S αX14
3 6:21 ノジコ2 S 不明 αAD4→αAD5 20m移動して囀る
上に行ったり下にいったり移動しながら囀る
足輪なし
4 6:58 ノジコ3 S 不明(ネムノキとハリエンジュがある電柱の脇) αO-10 柔らかい声でツツピピツーンと聞こえた。
5 7:11
7:18
ノジコ3 S 枯れ枝(ハリエンジュ) αN-10
αM-10
ゆっくり鳴く。
6 7:45 ノジコ4 S 不明 αAA4 電線で短く囀り、他から飛んできた鳥と同方向に飛んでいく。
7 7:50 ノジコ5 S 電線の上 αZ14 早口、チチーチュルピュルポー
8 7:59 ノジコ6 C 藪の中 αAB6 河原藪にいたノジコが飛び出した
9 8:06 ノジコ7 S 不明(大きなサワグルミの奥から聞こえる) αAA16 ティンチントルルチチピュー
10 9:00 ノジコ8 C 河原の藪 αW31 数回河原の草むらで鳴いただけ。姿見えず。
11 9:21 ノジコ9 C 河原の藪 βY30 カシラダカのように柔らかなチョッと聞こえた

見聞きした鳥達

  1. ヒヨドリ
  2. ウグイス S
  3. ノジコ SC
  4. ホオジロ S
  5. クロツグミ S
  6. サンショウクイ S
  7. キジバト S
  8. コゲラ
  9. オオルリ S
  10. イカル S
  11. キセキレイ
  12. セグロセキレイ
  13. カワガラス
  14. キツツキSP
  15. サンコウチョウ
  16. シジュウカラ
  17. キビタキ C
  18. メジロ
  19. ヒガラ S

その他

  • きれいな夏毛のテンに会いました。ノジコが鳴いていないか探しながら上流にゆっくり歩いていると、40mほど先の道を渡る4つ脚を見つけました。尾の長い彼(または彼女)は藪に入っても立ってじっとこちらを見て、こちらは動きを止めると見ていると、元の場所に道を渡って戻っていきました。その時じっくり観察できたのですが、手足と顔先が黒っぽく、残りの体色は実りの大麦のようにオレンジがかった金色でそれはそれは大層きれいな色でした。姿を見せてくれてありがとう。最初、イタチかなと思いましたが、Dr.Shouに伺うと夏毛のテンとのことでした。そういえば大きさが違いますね。テンの方が大きい。

テンネコ目イタチ科イタチ亜科テン属:体長44-55センチメートル イタチ(ネコ目イタチ科イタチ亜科イタチ属):体長は、オスが27-37 cm、メスが16-25 cm

夏毛のテン。(本写真はAC photoより)
  • 休憩中にパンを食べているとイチモンジチョウと思われるミスジチョウの仲間がパンの袋に止まって吸蜜行動をしていました。

    蝶の口吻はどういったメカニズムで伸び縮みさせているのか、とても気になります。パンに使われているマヨネーズ系の粘度高い物質はあの細い管を通るのでしょうか?味覚センサーは口吻の先にあるんだろうな。 pic.twitter.com/DO3c9HaboW

    — 市民科学をサポート|toriR_lab (@TorirLab) 2023年7月23日

  • Mr. Handさんが自宅で巣立ち後のモズの巣を持ってきてくださいました。案外大きく一番外はビニールの紐が多くあり、コバンソウも産座に使っていました。それにしてもうまく作るなー。

巣立ち後のモズの巣

参考文献

Article Info

created: 2023-07-23 11:23:47
modified: 2025-02-07 18:21:45
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keywords: ノジコ ホオジロ パラボラマイク 録音

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