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6月の最終週、ノジコ達は鳴く組と鳴かない組に上流下流で分かれた
どうしたことでしょう、今日のノジコ達は上流組と下流組で完全に囀りが違いました。上流組は全く鳴かない。鳴いてもホンの数分。下流組は新規も含めてガンガン鳴いていました。これはどう考えたらいいのでしょうか。上流組は第1回の繁殖で巣立ち雛の世話に忙しく第2回の繁殖を開始していないのか。下流組は新参者のオス達がメスにアピールしているのか、あるいは第2回繁殖を開始したのか。謎です。観察日:2023−06−29 6:00~11:00
場所:谷間の廃村に流れる小川沿いの道と脇
天気:曇り〜晴れ〜曇り、風無し〜風少々、開始時19℃ぐらい
日の出時間:4:34ごろ
観察者:Mr. Hand, Dr. Show, Mr. Ichi & me
今日の調査目的
- ノジコの個体毎の鳴き声の差を調べたいので鳴き声をできるだけ多く採取すること。
- ノジコの行動を調査すること。
方法
- 川沿いに複数のノジコ達がナワバリを持って繁殖しており、今日は中流の小橋の手前に車を止めそこから集落まで下流でノジコが同囀っているかを調べました。
- また上流に向かい、ノジコの囀りを録音しました。
- 用いた機材は下記の通り:
- 録音機:H6(zoom)、LS-7(Olympus)
- マイク:Rode NT4(ステレオマイク)
- 集音器:Sony PRB-400 (三脚あり)
- フォーマット:WAV、44.1kHz, 16bitステレオ
結果
- 中流から下流側はよく囀っていました。
- 今日の調査で中間の駐車場に行くまでに当初設定した調査範囲外の下流に鳴いていたので確認したのですが、やはり2羽囀っていました。ノジコ4とノジコ5です。
- 同じ個体群と考えて今回調査対象としました。
- 車を止めた中間場所から上流は参加者のほぼ全員ノジコは囀っていないとのこと。10時台に休憩兼ねて40分耳を済ませましたがノジコの声は聞かれませんでした(場所:αT55)。
- Ichiさんによると車で来る時、採石場から1番目の小屋の間でノジコが地面に降りており、そこで囀っていたとのこと。ノジコは地面での囀りが目撃されたのは今年この場所で3回目です。繁殖(交尾)に関係していると強く疑われました。
- 今日の囀り場所は、ハリエンジュ、枯れ枝、杉で囀った。ノジコ2、ノジコ7は杉の天辺で鳴いており、同じ個体かもしれない。個体により囀りに好みがあるのかもしれない。
録音状態
# | date | start | stop | ICR | 種 | 鳴き声 | 座標 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 230629 | 060701 | 061448 | H6 | ノジコ1 | S | αV31 |
2 | 230629 | 062522 | 062659 | H6 | ノジコ2 | S | αAA16 |
3 | 230629 | 063452 | 063545 | H6 | ノジコ3 | C | αY16 |
4 | 230629 | 064429 | 064817 | H6 | ノジコ4 | S | 範囲外(xx.48783,xxx.78660)から50m左岸側奥 |
5 | 230629 | 065717 | 070008 | H6 | ノジコ5 | S | 範囲外(xx.48613,xxx.78181) |
6 | 230629 | 070843 | 071443 | H6 | WAY? | C | 範囲外(xx.48520,xxx.77953) |
7 | 230629 | xxx | xxx | H6 | NG | ||
8 | 230629 | 075504 | 080311 | H6 | ノジコ4 | S | 範囲外サ5123の左岸側50m奥 |
9 | 230629 | 082109 | 082342 | H6 | ホオジロ1 | S | αZ5 |
10 | 230629 | 082428 | 082632 | H6 | ノジコ6 | S | αZ4 |
11 | 230629 | 083558 | 083925 | H6 | ノジコ6+ホオジロ1 | S | αZ4 |
12 | 230629 | 084018 | 084301 | H6 | ノジコ6 | S | αW19 |
13 | 230629 | 085336 | 085753 | H6 | ノジコ7(2と同じかも) | S | αAA156700から左岸側50m奥で鳴く。 |
14 | 230629 | 085928 | 090928 | H6 | ノジコ7 | S | αS61 |
15 | 230629 | 100303 | 100318 | H6 | ノジコ8 | S | αU60 |
16 | 230629 | 104548 | 105526 | L7 | ノジコ1 | S | αR35 |
鳴き声の観察結果
# | 種 | 鳴き声 | 目撃(囀り)場所 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | ノジコ1 | S | 枯れ木の天辺 | 左跗蹠に白い足輪チチツツピーピーと単純に鳴く |
2 | ノジコ2 | S | 杉の天辺 | トツチトトチーチー |
3 | ノジコ3 | C | 道路の脇の斜面の低木の中 | メス。地鳴きがしたのでみているとメスが白い羽根の虫(鱗翅目)を食べた。 |
4 | ノジコ4 | S | 高さ10mくらいのハリエンジュの中を移動しながら囀る。 | |
5 | ノジコ5 | S | 採石場のゲート脇のハリエンジュの天辺で囀る。 | 車が入場してから30後に飛び立ち200m以上川沿いを上流に飛び山の裏側に消える。 |
6 | WAY? | C | 藪の中 | ホオジロ類の地鳴き。幼鳥に聞こえた。姿見えず。 |
7 | NG | |||
8 | ノジコ4 | S | ハリエンジュの天辺から1mぐらいしたで囀る。 | 50〜100m移動した先で囀る。 |
9 | ホオジロ1 | S | ノジコに似た囀り。姿確認。 | |
10 | ノジコ6 | S | ハリエンジュの中 | 足輪なし。トトチチーピーチュと鳴く。 |
11 | ノジコ6+ホオジロ1 | S | ハリエンジュの中 | この場所は6月中よく囀っていた場所であり、その個体かもしれない。 |
12 | ノジコ6 | S | ハリエンジュの中 | 囀りの最後、チチチと鳴きながら飛んだ。 |
13 | ノジコ7(2と同じかも) | S | 杉の上 | トトジーチュチュピィチュチュと鳴く。姿見えず。 |
14 | ノジコ7 | S | 場所見えず | トトジーチュツツピィチュチィとなく。鳴き声が変わる。よく囀る。鳴き場所見えず。 |
15 | ノジコ8 | S | 場所見えず | 道から50mぐらい先。姿見えず。とても短くなく。 |
16 | ノジコ1 | S | 場所見えず | 道から30mぐらい奥で姿見えず。鳴き場所が同じなのでノジコ1とした。 |
考察
- 今日の場所による囀りの頻度の違いはどう解釈したらいいのでしょうか。
- 小橋辺りより上流側ではこれまでかなりよく囀っていた。県境に近い最上流部でも先週囀っていました。
- 上流部のノジコは今日ほとんど囀っておらず、中間から下流で新しい観察個体も含めて多くが鳴いていました。
- 中でもノジコ4は50m〜100mを移動しながら囀り、ノジコ5は200m以上も囀ってから飛びました。
- これらから中間から下流のノジコはソングポストを移動して鳴くナワバリ宣言のように思えました。
- 時期的には6月末なので第1回の繁殖が終わり、第2回の繁殖ステージに移行している時期と思われます。
- ノジコは1回目が成功すれば2回目の繁殖はせず、1回目が失敗すると2回目の繁殖をするとDr.Show が言っておりました。これが本当だとすると、上流側のノジコ達は繁殖成功し、2回目の繁殖に突入しなかったのでしょうか。
- 下流のノジコ達は1回目の繁殖に失敗し2回目の繁殖に突入した個体でしょうか。
- しかしながら、繁殖成功失敗が場所によってくっきり分かれるほど環境差があるようには思えないので説得力がある説だとは思えないですね。捕食者はヘビや四つ足が多いのでしょうが、何がこう分けるのか謎です。
- やはり、雛連れノジコの確認や営巣状況の確認が必要ですね。なかなかノジコ調査は難しいです。
観察種
- サンコウチョウ
- ヒヨドリ
- ウグイス
- ヤブサメ
- ホオジロ
- アオゲラ
- オオルリ
- アオバト
- ホトトギス
- トビ
- コゲラ
- イワツバメ
- サンショウクイ
- キセキレイ
- ツバメ
- セグロセキレイ
- イカル
- アカショウビン
- カケス
- クロツグミ
- ヒガラ
- シジュウカラ
- ヤマガラ
- メジロ
- カワガラス
- クマタカ

その他
- ウグイスはあまり鳴いていなかったです。
- アカショウビンは一回のみ聞きました(キョロロロロ)。
- サンショウクイは複数(3〜4羽)が鳴きながら飛んでいました。
- トビの姿で尾が白く透けている個体がいました。
- クマタカが出ました。Mr.Handさんによると翼の後縁の横斑が見えたのこと。
- ツバメが2羽採石場近くの電線に止まっていました。餌を撮りに遠征に来たかな。
以上です。