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7月中旬のノジコ達は繁殖気分

今日の観察でガンガン鳴いていたノジコは4個体いました。最上流にいたノジコ4は3つのソングポストで同一ホオジロに追っかけられソングポストをめぐる力関係はノジコよりホオジロが強いとわかりました。また今日も餌運び屋地鳴きなど、幼鳥の気配はしませんでした。今、季節は夏。今日囀ったノジコ達はソングポストを確保したい繁殖気分にあるのでしょう。
ノジコの調査

観察日:2023−06−07 6:30~11:00

場所:谷間の廃村に流れる小川沿いの道と脇

天気:(前日まで大雨)曇りのち晴れ、東南の風少々、気温は開始時24度(金沢気象台)

観察者:Mr. Hand, Dr. Show, Mr. Ichi & me


今日の調査目的

  • ノジコの個体毎の鳴き声の差を調べたいので鳴き声をできるだけ多く採取すること。
  • ノジコの行動を調査すること。

方法

  • 今日は中流の小さな駐車場から(αU35)から県境(βAE57)まで上流を歩き折り返して下流(αAB3)まで録音しながら歩きました。
  • 用いた機材は下記の通り:
    • 録音機:H6(zoom)
    • マイク:Rode NT4(ステレオマイク)
    • 集音器:Sony PRB-400 (三脚あり)
    • フォーマット:WAV、44.1kHz, 16bitステレオ
  • 基本的にパラボラマイクは固定して録音しましたが、音の中心にマイクがない場合はパンとチルトをし、ノジコが遠い場合は録音状態のままでパラボラマイクを持ちながらゆっくり近づくこともしました。ノジコの声紋分析ができればいいと考えて囀りの音のSN比を上げることを優先しました。
  • 地図は(論文発表まで)非公開

結論

  • 夏のこの時期に囀る個体とあまり囀らない個体といるようです。
  • 違う場所で囀るノジコは11区別できました。その中には同じ個体がいると思います。
  • ガンガン囀る個体は4匹(ノジコ4(βAE56)、ノジコ6(βV10)、ノジコ7(αR52)、ノジコ8(αV31))いました。
  • 観察して特筆すべき行動、特記事項は3点です。
    1. ガン鳴きする最上流部でのノジコ4のホオジロ3とのソングポストの競合
    2. 最下流部でのノジコ10とノジコ11の誘引反応
    3. 幼鳥の世話をしているようなノジコは観察されなかったこと
  • 今日の観察ではノジコの地鳴きも少なく餌運びなど幼鳥の世話をするノジコは見られませんでした。
    • これは必ずしも繁殖失敗とは言えないのですが、世話が見つかるほどの頻度ではないので、静かに世話しているのか、繁殖成功率が低いのかどちらかでしょう。前者であることを願います。(昨年の同地での観察ではノジコの地鳴きが多く聞かれた直後ノジコの雌が近くに出てきて、幼鳥から気を逸らす行動を確認しています)
  • 一回目の繁殖に失敗した個体は2回目の繁殖をすると文献にあるようで、そうだとするとこれら4個体は一回目が失敗し2回目の繁殖中にあることになります。1回目に繁殖行動をしたペアがどれくらいいたのかわかっていないですが、声の分析を進めて囀り個体数を算出できるとわかるかもしれません。
風に揺られハラハラと落ちた葉は役目を終えたのか色づき出していました

観察結果

  • 時間ごとの観察結果を記します。

  • 6:40 耳を澄まし中流から上流へゆっくり歩いてノジコを探しました。ノジコは散発的に鳴きましたが、3、4回囀ると鳴き止みます。回数が少ないので場所も特定できず姿を見つけるのは難しかった。

  • 6:43 ノジコ1はツツピィピィチュイーンと聞こえる声で鳴きました。ここで種名の後の数字は見つけた順につけており同一個体とわかる場合は同じ番号をつけています。

  • 6:59 録音#3はホオジロ2とノジコ2が同時に鳴いていました。ホオジロは杉の上、ノジコはサンバツ的な鳴き声で場所はわかりませんでした。

  • 7:19 ホオジロ2は囀りの前にチィーチィーっと春先で鳴く高い声を発していました。

  • 7:51 県境近くまでくるとノジコ3の地鳴きが聞こえたのでマイクをむけて録音しました。姿は見られず。ネムノキの花が綺麗に囀っている辺りで聞こえました。囀りは遠かった(録音#11)。なぜか今日はよくパラボラマイクにハチが近づいてきます。そのためは音も一緒に録音されました。パラボラは坊風変わりにネットに被せていたのですが、大きな花に見えたのでしょうか。

  • ノジコ3が囀っている所の近くまでゆっくりと録音しながら荷物を片付けて近づこうとしました(βZ53)。そして歩き出そうという時にノジコ3と目があって上流側に飛んでいってしまいました。距離は目算で40mぐらいでしょうか。

県境のノジコはガンガン囀っていました。ソングポストを巡ってはホオジロの方が強いようです。

ノジコとホオジロのバトルの付近の風景
  • 声はしなかったのですが、飛んで行った方にゆっくり歩いて行くとノジコ3と思われる個体がこれも40〜50m先で地鳴きしながら更に奥に飛び、左に曲がっていくのが見えました。飛び出したのはβAB55あたりです。そこまで行くと県を越した所に舗装された小道があり、その奥からノジコの囀る声が聞こえました。姿はまだ見られません。
  • 状況的に同じ個体だと思うのですが、ノジコ3と同一か分からなかったのでノジコ4と採番しました。
  • 8:10 ノジコ4声は途中に張り出した木が目隠しになっての姿は見られませんでしたが、録音をスタートし(録音#12)しばらく録音できました。向こうからもこちらが見えないだろうと思い近づきました。途中、このノジコ4の囀りは忙(せわ)しないぐらい間隔を空けずに囀っていました。興奮していたのでしょうか。こちらはまだ見えないはずの位置だったので、その理由は別にあるように思いました。近くでシジュウカラが盛んに声を出していました。ヘリコプターも飛んでいました。
  • その囀りの一部をスペクトログラムにしてYouTubeに上げました。囀り場所はβAE56あたりです。サワグルミで鳴いていました。
  • 更に近づいたのですが、それを嫌がったのかノジコ4はβAF56のミズキ(?)に移動して囀りました。
  • そこでもノジコ4はずっと囀っており、録音を止めずにいました。
  • 鳴き声が移動しているのに気がつき見上げるとノジコ大の小鳥が2羽が東に飛びました。1羽はβAF56からβAE58に飛んだノジコ4でしょう。もう一羽は不明です。βAF56の杉の天辺からノジコの声がしました。またβAF56ではホオジロの囀りが聞こえました。囀りは”ポッピタチチ”です。どうもホオジロ3が来てノジコが飛び出し、ホオジロ3がそこで囀り出したようです。
  • 8:25 βAE58の杉の天辺あたりでノジコ4が鳴き出し録音開始しました(録音#13)。するとまもなくノジコ大の小鳥が飛び出しました。
  • こんどは同じ杉にホオジロ3が飛んできました。ホオジロ3とノジコがβAE58で同所的に同時に囀っていました。βAF56のホオジロの声は聞かれないことからそこから飛んできたと思いました。ホオジロの方が杉の高い位置にいました。
  • βAE58のノジコ4の姿を確認しようと近づくと40mぐらい離れた場所でノジコ4は飛び出しAG54に鳴きながら飛んで行きました。どうも目視できる場合、40mがノジコのソングポストを離れる心理的距離になっているようです。
  • ここでは同時にホオジロ3,4の声が2か所から聞かれました。
  • ホオジロ3はソングポストをめぐって3か所でノジコ4にちょっかいを出したと感じました。整理すると1ヶ所目はAF56でソングポストの舞台はサワグルミです。囀っていたノジコ4を後から来たホオジロ3が追い出しました。ノジコ4は飛んで行った先の2か所目AE58の杉で囀り、数分するとホオジロ3はまたこの杉に飛んできました。今度はノジコ4は直ぐには飛ばずにホオジロ3と一緒に鳴いていました。観察者が近づいてきたのを嫌いノジコ4はAG54に飛んで行き、しばらくしてホオジロ3もAF56に飛んで行きました。この観察では次のようです。

ソングポストをめぐる力関係:ノジコ < ホオジロ

ノジコ4と一緒に飛んだのは誰か?

  • AF56からAE58にノジコ4と連れ添って飛んだのはだれか、が疑問に思います。
  • 同じサイズで並んで飛んでいたのでノジコだったと考えるのが自然です。可能性として①成鳥雄、②成鳥雌、③幼鳥、の3つが可能性があります。①成鳥雄だとするとバトルしていたのでしょうか。鳴き声は同時に聞かれなかったのと、ケンカしながら飛翔していたのとは飛び方が違うと思いました。この可能性はないと思います。②成鳥雌だとすると割に辻褄があいます。この成鳥雌はパートナーだとするとホオジロにソングポストを追い払われ、一緒に逃げたことになります。ナワバリ主張をしなければならない初期の繁殖ステージだとすると、例えばメスは造巣中だったのかもしれません。ノジコは一番よく囀るソングポストの真下に営巣する傾向があると聞いたことがあります。そして③幼鳥だとすると、一緒に飛翔した個体は自分の子でしょう。一回目の巣立ち雛だとするといくつか疑問が出ます。他の雛はいたのか?メスはどうしたか?などですが、他の雛がいたならメスと一緒のはずですし、ホオジロの飛来に驚いて雛と逃げたなら近くにいたであろう他の雛とそれを守る雌は何かしら反応すると思われます。反応とは地鳴きとかですが、この時ノジコの地鳴きは聞かれませんでした。また、雛ガスだったのならどうしてノジコ4はガンガン囀らなければならなかったのか理由がわからないです。これらのことから②のパートナーである成鳥雌だった可能性が高いと思われます。

観察結果を続けると

  • 8:41 ノジコ5を録音開始。数回囀り、しばらく鳴かない(録音#14)。
  • 9:18 ノジコ6はホオジロ、クロツグミ、サンコウチョウなどとにぎやかに囀っています。にぎやかな理由が時間帯なのか場所なのか興味がある所。確かに子育て中の鳥の気配が多くしました。
  • 9:35 セミが鳴きだす。杉の根元でリスを見ました。
  • 9:44 ノジコ7(αR52)で”ツツチピピチチツィ”と聞こえる声で囀りました。
  • 9:55 ノジコ8(αV33あたり)枯れ枝の上で鳴いていました。近づきすぎたのを嫌って飛んで行きました。これも40m離れた位置でした。
  • 9:59 ノジコ8(αV31)。電線の上で上を向いて囀る。左足に白い足輪。T28に飛ぶ。
  • 10:10 ノジコ9(αAA17)。杉の上に移動して鳴く。ゆっくりとした間隔でなく。目があわないようにして録音していましたが、振り向いたら飛んで行きました。パラボラを持つ人を気にしているのでしょうか。
  • 10:25 ノジコ10(αZ3)。左に白い足輪。ハリエンジュの脇の枯れ木の先に止まって囀る。
  • 10:31 ノジコ10は地鳴きに変わりましたが近くの木の上に移動してまた囀りだしました。この個体は複雑な囀りパターンでとても聞き做しを書き出せません。ガンガン鳴いています。
  • 10:50 ノジコ11。近くで誘引の音源がありそれを気にしている様子で電線の上で音源の方を見ながら小さな声で囀っていました。誘引音源のすぐ近くまで移動しますが、狙い通りの行動はしませんでした。このノジコのじっと見つめる姿勢が印象的でした。
  • 11:00 観察終了

ノジコの囀り場所

# 鳴き声 目撃(囀り場所) 場所 備考
1 ノジコ1 S 姿見えず αR55 3回鳴いて鳴き止む
2 ノジコ2 S 姿見えず βS15 4回鳴いて鳴き止む
3 ノジコ3 C 姿見えず βZ53 ネムノキの辺り
4 ノジコ4 S サワグルミ、ミズキ?、杉 βAE56
βAF56
βAE55
βAG54
ノジコ3と同じかもしれない
5 ノジコ5 S 姿見えず βAA43
βX42
6 ノジコ6 S サワグルミ βT10 ホオジロ、クロツグミ、サンコウチョウとにぎやかに囀る
7 ノジコ7 S サワグルミの中と思われる αR52
8 ノジコ8 S 枯れ木
電線
αV33
αV31
左に白い足輪
9 ノジコ9 S 杉の天辺に移動 αAA17→AA16
10 ノジコ10 S ハリエンジュの脇の枯れ枝 αZ3 左足に赤と白い足輪(ノジコ8と同じ個体)
11 ノジコ11 S? 電線 αAA5 ノジコ10ほど顔先が黒くなく、小さい声で囀っていた。

録音

# date start end 番号 場所
0 230715 064101 064345 ホオジロ 1 αU53
1 230715 064358 064655 ノジコ 1 αR55
2 230715 064912 065046 ノジコ 1 αS55
3 230715 065837 070448 ノジコ 2 βX10
4 230715 071224 071341 WAY - βW11
5 230715 071427 071712 WAY - βW11
6 230715 071853 072151 ホオジロ 2 βU12
7 230715 072250 072502 ホオジロ 2 βV13
8 230715 072522 072826 ホオジロ 2 βV13
9 230715 074200 074547 オオルリ 1 βAA43
10 230715 075037 075241 ウグイス 1 βZ50
11 230715 080435 080807 ノジコ 3 βZ53
12 230715 081019 082436 ノジコ 3 βAF56
13 230715 082519 082951 ノジコ 4 βAE57
14 230715 084159 085117 ノジコ 5 βAA43
15 230715 085208 085340 ノジコ 5 βX42
16 230715 085413 085718 ノジコ 5 βX42
17 230715 090925 091104 ホオジロ 4 βU11
18 230715 091135 091746 ノジコ 6 βT10
19 230715 091811 092600 ノジコ 6 βV10
20 230715 094320 094748 ノジコ 7 αR52
21 230715 094906 094954 NG
22 230715 095539 095911 ノジコ 8 αV33
23 230715 100043 100252 ノジコ 8 αV31
24 230715 101057 101413 ノジコ 9 αAA17
25 230715 101517 102127 ノジコ 9 αAA16
26 230715 102523 103746 ノジコ 10 αZ3
27 230715 104957 105328 ノジコ 10 αZ5

観察された鳥

  1. ヒヨドリ
  2. ホオジロ
  3. サンコウチョウ
  4. クロツグミ
  5. ウグイス
  6. キジバト
  7. コゲラ
  8. アカショウビン
  9. シジュウカラ
  10. アオゲラ
  11. アオバト
  12. サンショウクイ
  13. イカル
  14. オオルリ
  15. キビタキ
  16. イワツバメ
  17. キセキレイ
  18. ハクセキレイ
  19. ノジコ
  20. カシブトガラス
  21. ホトトギス
  22. ヒガラ

その他の観察記録

  • 7:51 ウグイスが変な声で囀っていました。
  • オオルリは1羽、キビタキも1羽のみ囀っているのを聞きました。ほとんど鳴いていないです。
  • 側溝に入るサンコウチョウがいました。全身が黒で腰の白が一際目立ち、パッと見、大きなモンキアゲハに似ていました。この場所はサンコウチョウの幼鳥の声がしていたのでその世話をしていたのでしょう。
  • 前日の大雨の影響を心配してか、ヘリコプターが低く飛んでいました。ヘリコプターが低く飛んだ時に鳥達の反応は以下でした。
    • キジバト:一羽飛び出す
    • ホオジロ:鳴き止む
    • ノジコ:鳴き続ける
    • クロツグミ;鳴いている
  • イワツバメが最下流部で4羽飛んでいました。

以上

Article Info

created: 2023-07-15 16:10:53
modified: 2025-02-07 18:21:50
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keywords: ノジコ ソングポスト ホオジロ 幼鳥 パラボラマイク 録音

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